雪国の会津の冬でも枯れることがない常緑の深山寒菅(ミヤマカンスゲ)というスゲ類の植物がある。夏は細く長い新しい葉をのばし、冬には地上部の葉の先や、一部は枯れるが根株と一部の葉が残り、地面を冬でも緑色の葉で覆う目立たない草である。 日本列島に自生するが、会津地方、特に奥会津でも、沢筋の半日陰の水はけのよい斜面に自生し、山体全体でもみられるものである。湿地に生えるのものではなく、陸生のスゲ類であるそれを「ヒロロ(ひろろ)」とよぶ。 採取・乾燥して縄にしカゴやハバキ、ミノなどに加工してきた。そして、ヒロロ、、、とても不思議な韻を持つ名前だ。大辞林という辞書では「ひろろ・ぐ」として「ひょろひょろする」「ぐらつく」「よろめく」という意味である、と書かれている。野に生える様子を示しているのかもしれないがヒロロという名の意味は不明である。この呼び名は、会津から新潟県にかけて分布するようである。