焼物の釉薬(ゆうやく)の一種。その釉色が海鼠に似ているところからの命名だが、二重掛けして行う失透釉で、白濁色を基調とする。釉(うわぐすり)の主成分は灰釉(かいゆう)で、長石にケイ酸分を多量に含有する成分を混ぜ高火度で焼成するが、下釉の上に類似の釉を上掛けし、釉の流動によって斑文(はんもん)・流文などが現れたもの。海鼠釉の始源はおそらく中国宋(そう)元代の鈞窯(きんよう)にまでさかのぼる。オパール現象によって青白い美しい呈色が得られ、その景色を珍重して中国、日本で美術陶磁に多く施されているが、ことに信楽(しがらき)焼、高取(たかとり)焼に多くみられる。